開放歯車潤滑

一部の面が外空間に開放された歯車箱に組込まれた低速、高荷重用歯車列の潤滑法。ごく低速では手差し給油、中速歯車では波面から飛ばされない程度の油の滴下給油、低速大型歯車では歯車下端が浅い油皿に接触した給油、一定時間ごと圧縮空気で規定量の潤滑油を吹付ける噴射給油がおこなわれる。
高粘度で歯面への粘着性、耐摩耗性、撥水性のある潤滑剤が使用される。

界面活性剤 Surface Active Agent , Surfactant

分子内に親水器と親油基を持つため、界面に吸着して、界面張力を著しく低下させる働きを持つ物質。
水溶液中での解離イオンの性質により、陽イオン(カチオン)、陰イオン(アニオン)、非イオン、両性界面活性剤に分類される。
潤滑油添加剤として用いられる場合は清浄性、さび止め性、油性、水分離性、乳化性、分散性、泡立ち性などに関与する。

界面反応

2相の界面で起こる化学反応で、不均一反応はすべて界面反応である。
摩擦表面と潤滑剤との界面で起こる化学反応による生成被膜は摩擦、摩耗などの
低減に重要です。

攪拌(かくはん)損失

回転または往復運動する部分が油面と接触することによるエネルギー損失

乾燥被膜潤滑剤 Dry Film Lubricant

固体潤滑剤を被膜として用いる場合を指します。
接着剤で接着し被膜にすることが多いが、スパッタリング、イオンプレーティングなどの方法により、固体潤滑剤のみを被膜とすることも可能です。

気孔率

焼結体や圧粉体の中に存在する空隙の全体に対する容積率。
気孔が小さいほど材料の機械的強度が増加するが、含油軸受などの用途においては、ある最適な気孔率を選択する必要がある。

基油 Base Oil

潤滑油やグリースの基材とする油。
原油を精製して得られる鉱油にはパラフィン系基油とナフテン系基油がある。
その他に、化学合成で得られる合成油も合成潤滑油の基材に用いられます。

境界潤滑 Boundary Lubrication

潤滑状態で、油膜による負荷能力が十分でなく、金属間接触が生じていて、摩擦係数が荷重、すべり速度、潤滑流体の粘度に依存しない状態。
潤滑面の表面粗さも関与します。

極圧剤

摩擦面間の接触圧力が高く、すべり速度が大きい過酷な潤滑条件下において、摩擦・摩耗を減少させ焼付きを防止する役割をもつ添加剤化合物。
硫黄系、リン系、有機金属塩系などがあります。

極圧潤滑

摩擦面の接触圧力が高く、すべり速度が大きいため、潤滑油膜の破断が起こりやすい過酷な潤滑状態。

極圧添加剤

接触圧力が高く、すべり速度が大きい、いわゆる極圧潤滑下で生じる発熱で、接触面と反応をすることにより金属同士の接着を減少させ、摩擦・摩耗を少なくし、焼付きを防止します。

グラファイト

黒鉛。
大気中で700℃、真空中で2,000℃まで固体潤滑剤として使用されます。
層状の結晶構造が潤滑効果をもたらします。

グリッドメタル

鋼板を裏金にし、摺動面に格子状の溝の金属層を持つ軸受け。
金属層は銅、銀、または銅縲怏狽ネどで、その上にハビットメタルと呼ばれるスズ、鉛合金などの柔らかく潤滑性のある金属で覆われています。
溝によって柔らかい表面層メタルとの接合強度が増し、軸とのなじみを持ちながら優れた耐荷重性能を得られています。

結晶性高分子

代表的にポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエンポリオキシメチレン、ポリエチレンテレフタレート。ナイロン66、ポリペプチドなどがあり加工条件で結晶度を制御することで、材料の特性を変化させることができる。

ケルメット軸受

銅、鉛を主成分とする軸受合金を軟質の裏金にライニングした軸受の総称です。

元素記号表

元素記号表はこちらから 

高温用グリース

一般に150℃以上に使用するグリースです。
増ちょう剤としてカルシウム複合石けん、有機処理ベントナイトやウレア化合物などを使用したもので、基油として合成潤滑油を使用されるものが多いです。

高周波焼き入れ

焼き入れ方法のひとつです。
高及び中周波誘導電流によって変態点温度以上に加熱し、急冷させます。
短時間なので脱炭や酸化がない事、部分的に焼き入れる事が特徴です。

国際単位系(SI単位)

SI単位は1960年国際度量衡会議で採択された、世界共通・各分野共通の実用単位系。各国の国家標準も基本的にはSl単位に基づくものである。

固体潤滑剤

相対運動における表面損傷を防ぎ、摩擦・摩耗を減少させるために粉末または薄膜として使用される固体。多くの固体潤滑剤は異方性が強く、特定の結晶面または分子間結合力が弱く、塊としての摩擦係数も小さく自己潤滑性を持っています。

転がり疲れ

転がり接触を繰り返すうちに、表面の一部に亀裂が入ったり、はく離が生ずる損傷状態の総称です。
代表的なものに、転がり軸受のフレーキング、歯車のピッチングやスポーリングなどがある。

コンタミネーション

油圧系、潤滑系に混在する水分、空気、固体物質などの意図しない(汚染)不純物。

加水分解安定性 Hydrolytic Stability

水の作用による化合物の分解反応の起こりにくさを指す。加水分解安定性が悪いと、分解反応生成物が油に不溶となって分離したり腐食性を示す場合がある。
一般に鉱油は安定であるが、エステル系合成潤滑油、金属石けんやエステル系潤滑油添加剤などはやや不安定である。

ガス クロマトグラフィー Gas Chromatography , GC

試料を窒素やヘリウムなどの不活性ガスによって分離管内で展開し、管内の充てん剤に対する吸着性や分配性の違いにより成分を分離して検出する方法。脂肪酸や軽質の燃料などの組成分析に利用される。

ガスケット Gasket

静的に結合した二つの機械部品間に存在する流体の漏れ防止のために、はさみ込まれるシール材。材質はアスベストが主体であったが、人体への悪影響の理由からグラファイト、メタルが主流となっている。

ガスタービン用潤滑油 Gas Turbine Oil

ガスタービンの軸受や補機に用いられる潤滑油。
航空ガスタービンにはエステル系合成潤滑油が、また産業用ガスタービン油には主として鉱油系潤滑油が使用されている。

化成処理 Conversion Coating

金属表面に化学的に非金属物質を被覆する方法。電気化学的に行う方法に陽極酸化、また化学的に行う方法にリン酸塩処理、クロム酸塩処理や化学着色法などがある。焼付き、腐食の防止などのために行われる。

可溶化作用 Solubilization

溶媒に溶けにくい液体または固体に界面活性剤などを添加することにより、熱力
学的に安定な溶液を作ること。清浄分散剤の重要な機能の一つ。

含油軸受 Oil Retaining Bearing

焼結金属、成長鋳鉄、合成樹脂等の多孔質材料でつくり、その中に潤滑油を含浸させた軸受。毛細管現象と油の熱膨張により、油は軸受すきま内に浸出し潤滑する。
長期間給油せずに使用できる特長がある。

機械損失 Mechanical Loss

流体機械などの損失エネルギーの中で、軸受、しゅう動部分などの機械摩擦による損失エネルギー、および可動部分の流体摩擦による損失エネルギー。

気相さび止め剤 Vapor Phase Rust Inhibitor

比較的高い蒸気圧をもつかまたは昇華性をもつもので、その蒸気が鉄鋼のさび止めに効果のある化合物の総称。脂肪酸系およびアミン系化合物などがある。

揮発性 Volatility

液体の蒸発のしやすさ。石油製品では、通常蒸気圧と蒸留性状で表わす。
平均分子量450程度の鉱油の180℃における蒸気圧は13.3Pa程度である。

キャビテーション エロージョン Cavitation Erosion

キャビテーション気泡が液体の圧力の急激な変化によって、高速で崩壊または振動し、それに伴って発生する衝撃圧力が固体表面に作用して生ずる表面損傷。衝撃圧の繰返しによる疲労破壊現象とされている。

キャノン・フェンスケ粘度計 Cannon-Fenske Viscometer

毛管粘度計の一種。一定量の試料油が毛管を通過するのに要する時間から動粘度を計算する。透明液体用の普通型と不透明液体用の逆流型とがある。

キャビテーション Cavitation

液体が加速あるいは高振動を受け、液体の静圧がある限界の圧力より低下すると気泡が発生する現象。空洞現象ともいわれている。

吸着膜 Adsorbed Film

界面において吸着が起こり、これが吸着平衡に達し、一様の被覆率をもって界面に形成される膜。
物理吸着膜と化学吸着膜がある。油性剤、分散剤、さび止め剤などの作用は吸着膜で説明される場合が多い。

凝固点 Freezing Point,Solid Point

材料の降伏点を上回る力で変形をさせた場合に起こる永久的な変形。
圧延加工、伸線加工、鍛造加工も塑性変形です。塑性加工時に発生する熱が、酸化皮膜を形成する温度まで達します。

凝集 Cohesion

液体や固体の構成分子、原子、イオンまたは粒子が分子間引力によって多数集まり、密な集合状態を作ること。液体の凝集の仕事は単位断面積の液柱を引き離すのに要する仕事で、液体の表面張力で表わせる。

凝着摩耗 Adhesive Wear

2固体間の真実接触面積を構成する凝着部分が、摩擦運動によりせん断されることに基因して生ずる摩耗現象。その生成機構は十分明らかではないが、摩耗現象の中の基本的な形態であって、常にあらゆるすべり摩耗現象の一部もしくは大部分をしめる。ことに潤滑油が存在しない場合、摩擦面の表面あらさが小さい場合、2面の硬さの差が少ない場合、2面が類似の金属で凝着しやすい場合には、凝着摩耗がほとんど支配的に生じる。

金属加工油剤 Metal Working Fluid

金属を機械加工する際に、潤滑、冷却、洗浄などの目的で使用する液体の総称。
切削油剤、圧延油、引抜き油剤など用途ごとの種類がある。工作用潤滑油ともいう。

クーラント Coolant

液冷式内燃機関などに使用される冷却液。また水溶性切削油剤やエマルション形圧延油は、潤滑とともに冷却にも主要な役割を果たすので、クーラントとよばれることもある。

くもり点 Cloud Point

潤滑油の低温特性の一つの尺度。試料を規定のガラス容器に入れ定められた方法で冷却していったときくもり始める温度。鉱油でパラフィン分が析出することによりくもりが生じる。

結合剤 Binder

粉末成形体の強度を高めるため添加する有機物あるいは無機物。たとえば、固体潤滑剤被膜(乾燥被膜)に用いる結合剤は固体潤滑剤粉末間の接着性と固体潤滑剤と下地との付着性を高める。

けん化価 Saponification Number

試料1gをけん化するに要する水酸化カリウムのmg数。
潤滑油に配合された油脂などエステル類の含量を推定することができる。

研削 Grinding

高速で回転する砥石車を加工面に押し当てつつ送ることによって加工する方法で、砥石車を構成する非常に硬い砥粒によって削るので、きわめて硬い材料でも加工することができる。また砥粒の角でわずかずつ削るため、寸法精度とともに仕上げ面精度も優れている。

研削砥石 Grinding Wheel

砥粒と結合剤を混ぜて焼き固めたもので、高速に回し、硬い砥粒によって被加工物の面を少しずつ削り取って加工する。被加工物の材質、加工の目的などによって、適当な結合度(結合の強さ)、粒度(砥粒の大きさ)などの砥石を選ぶ。

抗乳化度 Demulsibility

油と水の分離のしやすさを示す性能。作動油や工業用ギア油などの潤滑油で、水分離性が要求される場合には抗乳化性試験で評価される。

鉱油 Mineral Oil

合成油、動物油、植物油と区別して天然に得られる原油を精製して得られる石油系油の総称。

コーティング Coating

表面改質のうち、防錆防食、装飾、低摩擦あるいは耐摩耗性付与、光学的・磁気的電気的特性付与など、表面の欠点改善や新しい機能を付与するために行われる被膜処理の総称。

混和安定度 Worked Stability

グリースを規定の混和器で10万回混和して、25℃に保持したのち、さらに60回混和したのちのちょう度。グリースの機械的安定性の評価法のひとつ。
JIS K 2220。

混和ちょう度 Worked Penetration

グリースを規定の混和器で25℃に保ってから、60往復混和した直後のちょう度。
混和ちょう度によってNLGIちょう度番号が区分されている。
JIS K 2220。

ガウス(G)

磁束密度BのCGS単位系

ギルバート

起磁力のCGS単位系

キュリー点(キュリー温度)

強磁性体がある温度で急激な磁性を消失するポイントのことである。なお、キュリー点以上では強力な磁石も常磁性体となります。

希土類コバルト磁石

希土類元素とコバルトとの金属間化合物磁石のことであり、保磁力、最大エネルギー積ともに優れています。

希土類鉄磁石

ネオジム(Nd)鉄(Fe)ボロン(B)の正方晶構造を有する焼結合金磁石のことであり、希土類コバルト磁石よりさらにエネルギー積が大きい。

希土類元素

原子番号が57から71までの15元素に21番のスカンジウム(Sc)と39番のイットリウム(Y)を加えた17元素のことである。

■各種磁石の磁気特性1

■各種磁石の磁気特性2