再生油 Reclaimed Oil/Rerefined Oil

潤滑油の使用により生成した劣化生成物や混入異物を分離除去して再生した油。再生方法としては、ろ過、脱水処理、白土処理、酸・アルカリ処理などがあり、処理後に添加剤を補充することがあります。

さび止め添加剤

鉄および銅の表面に最ちょう密の状態で吸着し、さびの発生を防ぐ。
極性基と適当な大きさの親油基(炭化水素基)を有する。金属表面に極性基が吸着し、強固な吸着膜を形成し酸素および水と金属表面との接触を防ぐ。
この作用機構は油性向上剤と類似しているため、油性向上剤にはさび止め効果を示すものが多い。なお、さび止め添加剤には、このほか水置換性、水可溶化性等の機能も重要です。

シール軸受

両側または片側に潤滑剤の漏れ、異物混入を防ぐためのシールを付けた転がり軸受。

磁性流体

10nm程度の強磁性体超微粒子の表面を、オレイン酸などの界面活性剤で密に被覆し、溶媒中に均一分散させたコロイド溶液。
磁場中でのみ磁界の強い方向に引きつけられる。ダストシールなどの分野で実用化されています。

湿式クラッチ Wet Clutch

作動油中で使用される摩擦クラッチ。
円板と円すいクラッチがあるが、円板には単板と多板のタイプがある。
自動変速機には多板クラッチが使用されています。

終減速機

自動車の変速機の後につく一般に歯数比3~5の固定比の減速機。
差動歯車装置と一体に構造され、前輪駆動車ではトランスアクスルの中にはずば歯車が包含され、後輪駆動車ではハイポイドギヤやかさ歯車を用いる。
ハイポイドギヤはすべりと高負荷のため、ピッチング、スカッフィングなどの損傷を発生しやすいので、極圧性の高いギヤ油(デフオイル)を用いる。

消泡剤

泡消し剤とも称し、泡立ちを押さえるため使用される添加剤。潤滑油に不溶で、かつ表面張力が小さく泡沫に対し拡張性のある性質が要求される。

潤滑理論

流体潤滑状態に対する流体力学に基づいた理論。
乱流流体潤滑理論や非ニュートン流体潤滑理論、弾性流体潤滑理論あるいは熱流体潤滑理論などがあります。

水素化精製法

固体触媒を使って、高粘度指数オイルを作る方法。
環状・芳香族系の炭化水素はエンジンオイルとしては一般的に安定性に欠けると言われ、飽和炭化水素にする事でオイルにふさわしくなります。
水素化されたオイルはミネラルベースオイルなのですが、粘度指数が高く蒸発も少ないことで添加剤量を少なくでき、せん断安定性を高める事になります。
多環式芳香族炭化水素(PAH)は自然界でも動植物の分解過程で生じ、地層中で分解して炭素環が切れ、パラフィン系=飽和炭化水素に変わって行くのですが、その過程を触媒で早めて作る事になります。
特に粘度指数を高めたものは高度水素化精製法ででき、オイルのコスト削減になりますが、5w以下の粘度は難しいとされます。

スーツ

燃料の不完全燃焼によって発生するスス。
潤滑油に混入すると油の酸化生成物を吸着して凝集し、粘度上昇の原因となったり添加剤を吸着して機能を阻害し、潤滑油性能劣化を促進する。

スカッフィング Scuffing

歯車歯面などのすべり接触面に生じる表面損傷の一つの形態です。

スコーリング Scoring

歯車歯面の接触部の局部的な過熱により油膜が破断して金属接触が起こり、歯面が溶着して再び引剥がされるために歯車が荒れる損傷。
焼付き、溶着とも呼ばれています。

ステムシール

エンジンのバルブのシステム部とバルブガイドとの間に入るオイル量が適量になるように調整するシール。
このオイル量が増加するとオイル消費が増大し、少ないとバルブの焼付きに至る。

スラッジ Sludge

燃料および潤滑油が貯蔵中あるいは使用中に変質して析出した油不溶分。
装置各部に堆積したり、フィルタを詰まらせて正常な潤滑を阻害する。

セ氏と華氏

セ氏はCで表され、華氏はFで表されます。
この関係は「(F-32)/2*1.1」とすれば大体の近似値になります。

船尾管軸受

船舶のプロペラ軸が船体を貫通する箇所である船尾管にある軸受。
金属軸受、ゴム軸受、海水を潤滑剤とする木質軸受があります。

増ちょう剤

グリースの成分で、液体潤滑剤の中に分散し、三次元構造を作り半固体状にする作用をもつ物質。
ステアリン酸などの各種金属石けんが用いられます。

塑性(そせい)変形 Plastic Deformation

材料の降伏点を上回る力で変形をさせた場合に起こる永久的な変形。
圧延加工、伸線加工、鍛造加工も塑性変形です。
塑性加工時に発生する熱が、酸化皮膜を形成する温度まで達します。

酸価 Acid Number, Acid Value

試料油1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で表される。酸価には酸性成分の量を示す酸価と、強酸性成分の量を示す強酸価の二つがあるが、強酸価が存在して問題になる場合は比較的少ないので、単に酸価といって酸価を指すこともある。酸価の測定方法はJIS K 2510などで定められている。

残留炭素 Carbon Residue

石油類を一定条件下で加熱分解、蒸発させた後に残る炭素状物質。燃料油ではカーボン生成度の目安に、また潤滑油では精製度の目安になる。
JIS K 2270。

シール Seal, Sealing Device

機器内部からの作動油の漏れ、外部からの異物の浸入を防ぐための装置。使用状態により静止部分に用いられるガスケットと、往復運動、回転運動、らせん運動などの運動部分に用いられるパッキンとの二つに大別される。

磁気軸受 Magnetic Bearing

磁気力によって荷重を支える軸受。永久砥石の反発力を用いるもの、電磁石を用いて磁気力を制御するもの、超電導磁石を用いるものがある。潤滑剤を必要とせず極低摩擦の軸受となる。また、荷重の大半を受け持つ補助軸受としても用いられる。

精密機械油 Instrument Oil

計器、時計など精密機械に使われる油。精製鉱油に精製した油脂を添加したもの、
あるいは合成潤滑油が用いられる。良好な油性と長期間連続使用するため、優れた
安定性を必要とする。

色相 Color

・石油製品を透過光線により測定し酸化劣化を数値化。無色の流動パラフィンから、淡黄色 、
オレンジ色、赤褐色、暗赤褐色など種々ある。
・石油製品の色を淡い色の0.5から濃い色の8.0に数値化して分類し酸化劣化を判定する。
JIS K2580,ASTM D1500に基づいて分析されます。

軸受油 Bearing Oil

主として循環式、油浴式、はねかけ式給油方式の各種機械軸受部の潤滑油として用いられるもの。
従来、無添加精製鉱油が使用されていたが、現在では酸化防止剤およびさび止め剤を添加したものも使用されている。JIS K 2239。
鉄鋼圧延機のロールネック軸受。(モーゴイル軸受、メスタ軸受)に使用される高粘度軸受油を油膜軸受油ともいう。

脂肪酸 Fatty Acid

鎖状モノカルボン酸の総称。一般に直鎖状で天然のものは炭素原子数が偶数であるが、合成あるいは自動酸化により奇数のものも得られる。脂肪酸は一般に無色の液体または固体で高級脂肪酸は水に不溶で油に少量可溶である。油性剤、合成潤滑油あるいはグリースの増ちょう剤となる石けんの原料として使用される。

しゅう動面 Sliding Surface

すべり面のこと。2つの物体が相対運動をしているとき、互いに接触している面。
容積式ポンプおよびモーターにおいては、ケーシングとそれに内接する可動部材の接触面のこと。

蒸着法 Vapor Deposition

真空蒸着ともよばれ、加熱などにより真空中で材料を蒸発させ、基板に膜を形成する方法。粒子は蒸発温度程度の熱エネルギしか持たないので、到着エネルギが小さく基板盤との付着力が小さい。

植物油 Vegetable Oil and Fat

天然の植物から採取した油脂の総称。成分的には脂肪酸のグリセリドであるが、動物油と比較して一般的に不飽和脂肪酸の割合が高く、常温で液体として存在するものが多い。金属加工油剤に広く用いられる。

しわ押さえ Blank Holder

板材成形においてダイと対向して板材の反対側に配置される工具。板材の縮みフラ
ンジ変形などでの面内圧縮に起因する座屈現象であるしわを、板面垂直方向の圧縮
力負荷および変位規制の効果により抑制する。

真空ポンプ油 Vacuum Pump Oil

真空ポンプに使用する蒸気圧の低い潤滑油。回転式ポンプ用には精製鉱油、油拡散ポンプ用にはアピエゾン油、ジエステル油、シリコーン油、アルキルナフタレンなどが使用される。

シングルグレード油 Singlegrade Oil

通常の鉱油の粘度ー温度特性を持つ潤滑油の呼称で、100℃の粘度1点により分類されるSAE粘度番号により表示される。特にエンジン油、ギヤ油に対してマルチグレード油と区別するために用いられる呼称である。

親水基 Hydrophilic Group

水との親和力が大きい有極性の原子団。疎油基ともいう。金属スルホン酸基、金属カルボキシル基などは最も強い親水基である。分子中で親油基(疎水基)と組み合わせて界面活性剤の分子を構成。

水溶性油 Water Soluble Oil

工作用潤滑油のうち、界面活性剤の働きで、水とエマルションを形成する油。あるいは水に可溶性の油で、切削、圧延、引抜き等の加工用に使用される事が多い。

数値制御 Numerical Control, NC

工作物に対する工具の位置をそれに対応する数値情報で指令する制御。数値制御は工作機械を対象として使われることが多いが、製図、織布、IC基板の製造などにも用いられる。NCと略称されている。

スキッド Skid

車両を制動したとき、タイヤと路面がすべり摩擦する現象を完全なスキッドという。
しかしふつう、車両が方向安定性を失う程度にすべり、摩擦といわゆるころがり摩擦が共存する場合もスキッドとして扱う。

スティックスリップ Stick Slip

機械的振動系において摩擦による減衰が負であることに原因する自励振動の一種で、一般に鋭いのこ歯状の付着、すべりの振動模様を示す。摩擦係数がすべり速度の増加とともに減少するときや静摩擦から動摩擦に移る際の不連続的な摩擦低下を含むときに発生することがあり、その周期はすべり速度や系の弾性的性質などによって決まる。ただし、単に摩擦の速度特性だけでなく、摩擦面間の微視的な凝着部の形成、破断も関係するといわれている。

スリッパシール Slipper Seal

角形のみぞの中に入れて用いられる往復動用シール。しゅう動面に充てん剤入りフッ素樹脂などの板状のものを用い、その裏側に角形、丸形などのゴム状弾性体を組み合わせて、しゅう動面への接触面圧を与えるようにした組み合わせシール。

清浄度 Cleanliness

金属表面、潤滑油、空気など対象として考えている物体、物質の清浄さの度合い。
一定面積または一定容積中に含まれる汚染物の寸法と数または質量によって表す。

セイボルト ユニバーサル粘度 Saybolt Universal Viscosity

工業粘度の一種。60mlの試料がセイボルト ユニバーサル粘度計を流出する秒数で示され、動粘度(cSt)からも換算する。単位はセイボルト ユニバーサル秒(SUS)。

切削 Cutting

固体を刃物で削り取ること。材料を変形してすくい取り、切りくずを生成する。
「切る」とは変形を与えず分断することであり、切削は「切る」ことではない。
金属切削では、材料に大きなせん断ひずみを与え切りくずとなる。

繊維用潤滑剤 Lubricant for Fiber

機織りに際して繊維のすべりを良くするため適用する油。無色で粘度の低いスピンドル油のようなものが使われる。変色を防止するため紫外線安定性が要求される。

塩基価 Total Number, Total Base Value

試料1g中に含まれる塩基性成分を中和するのに要する酸と当量の水酸化カリウム
のmg数のこと。石油製品では試料のpHが非水塩基性緩衝液のpHより大きいとき、
そのpHまで中和するのに要する酸と当量の水酸化カリウムmg数を強塩基価という。

酸価 Total Acid Number, Total Acid Value

試料1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数のこと。
試料がメチルオレンジ指示薬を赤変させたり、非水酸性緩衝液よりpHが小さいとき
は、そこまでの中和に要した#数を強酸価という。

せん断安定性 Shear Stability

潤滑油が使用中にせん断作用を受け、一時的または永久的粘度低下を起こす場合が
ある。永久粘度低下は、油性分の化学構造の変化が原因であり、低下した粘度は元に
戻らない。せん断安定性とはこのような粘度低下に対する抗性という。

疎水基 Hydrophobic Group

油と水界面で油の方に配向する原子団。親水基に対するもので、親油基ともいう。
炭化水素基などでは炭素数が多いほど親油性が増し、油に溶けやすくなる。

塑性加工 Deformation Processing, Forming

素材に弾性限度以上の応力を加えて塑性変形を生じさせ、切りくずを出さずに所望の形状に成形する方法。圧延、押出し、引抜き、鍛造、板材成形、転造などがあり、同一寸法品の迅速な大量生産を得意とする。

ソリューション油 Solution Oil

水に可溶な成分のみで構成された油剤。切削、研削加工には無機インヒビタを主成分とするケミカルソリューション型が、作動液には水溶性ポリマーなどを主成分としたソリューション型が使われている。

ソリュブル油 Soluble Oil

水溶性切削油剤のうち乳化剤を多く用い、多量の水に半透明状に乳化して使用されるもの。切削油剤(JIS K 2241)のW2種に相当し、通常30~100倍に希釈して使う。

磁力

磁石の異極同士がお互いに引き合う力と、同極同士がお互いに斥けようとする力のことであり、これらは磁気力とも呼ばれています。

磁場

磁界のことをいいます。

磁力線

磁界内における仮想の力線のことをいいます。

磁界

磁気力を及ぼす空間(磁力線が介在する場所)

磁性

鉄片を引き付けることやNS極があらわれる性質のことをいいます。

磁石

本来の意味は磁性を有する石(磁鉄鉱)のことであるが、現在では人工的に作られた比較的磁性の強い物質のことをいいます。

磁極

磁石の中で最も磁力の強い部分をいいます。

磁気

磁石の相互作用や電流と磁石の相互作用などの諸現象を伴う一種のエネルギーのことです。

磁気誘導

磁石が鉄片などを引きつける現象のことをいいます。

磁化力

磁界の強さを表す度合いのことをいいます。

磁化

磁界内で物質が磁性を得ることを磁化という。

磁性体

磁界内で磁化される物質の総称であり、これには鉄、ニッケルなどの強磁性体
があります。なお地球上のあらゆる物質は程度の差はあるが、そのすべてが磁
性体です。

常磁性体

物質を磁場内においた場合、その磁場と同じ方向に磁化される性質。

磁束

磁界中の単位面を貫通する磁力線の法線方向成分の総和である。(磁束線の集まり)

磁束密度

磁界の強さの程度を表したものです。

残留磁束密度(Br)

ヒステリシス曲線において磁界の強さをゼロとした場合、残留している磁束密度。